ここでは新規事業×イノベーションによって、デジタル・ディスラプターになることを目標とします。その際に役立つフレームワークを紹介したいと思います。
デジタル・ディスラプターとは、既存の市場を破壊しながら急激に成長を遂げる企業の総称です。一般的に最新のデジタル技術を駆使したスタートアップによく見られます。
例えば、iPhoneなどはフィーチャーホン市場、音楽CD市場、デジカメ市場、腕時計市場、PC市場、電子辞書市場、地図出版市場にとってデジタルディスラプターと呼べる製品です。
デジタル・イノベーターとデジタル・ディスラプターはほぼ同義
既存の市場を破壊しながら急激に成長を遂げるデジタル・ディスラプターと呼ばれる企業の多くは、かつてはイノベーターと呼ばれていました。当時はイノベーションを起こそうと、あらゆる企業が夢中になったものです。
イノベーションは、持続的イノベーションと破壊的イノベーションに分けられて語られますが、今回は後者になります。
今では、既存マーケットを脅かす存在となったため、デジタル・ディスラプターと呼び、経産省のDXレポートの発表を皮切りに守りのDXに目が向かうようになりました。
イノベーションの中でも特にデジタル技術の活用によってなしえたイノベーションをデジタル・イノベーションと呼びます。
イノベーションの前にニーズはまだない
イノベーションを狙う多くのスタートアップの失敗理由に「市場ニーズがなかった」という理由がトップにあります。これは何が原因なのでしょうか?
市場調査をしてニーズを掴んでいなかったからでしょうか?ニーズを掴んでいたらイノベーションを起こせていたでしょうか?
イノベーションを起こすための新規事業とは、他の新規事業と大きく異なる点があります。通常の事業はでは、よくマーケットのニーズにどう応えるかを考えます。しかし、イノベーションを狙う場合、ニーズがまだ存在していないことが前提で、新たなニーズをどう生み出すかという視点になります。この世に存在していない新しい価値提供なわけですから、そこにニーズがある訳がないのです。調査をしても意味がありません。
つまり、twitterが登場する前に、140文字以内の他人のつぶやきをタイムラインで見たいか?あるいは自分のつぶやきを他人に知らせたいか?どうかなど調査しても仕方がないのです。
また、iPhoneをリリースする前に、スマホが欲しいと思っていたのは、スティーブジョブスただ一人なのです。彼は世の中にニーズがあるからiPhoneを作ったわけではなく、iPhoneがニーズを産み出したのです。
※まだニーズが発生していない状態を潜在ニーズと表現する場合があります。潜在ニーズは、そのペルソナのその時点でまだ気づいていないニーズということであり、この世にまだニーズが存在していないということを意味する言葉ではありません。
どうすれば世の中に受け入れられるイノベーティブなサービスやプロダクトを作り出すことができるのでしょうか。
そこでイノベーションを起こす新規事業では、顧客のニーズはまだ存在していないため、その源泉となる領域に目を向ける必要があります。
イノベーションに有効なフレームワーク
イノベーションとDXの関係性について話しました。DXでデジタルディスラプターを目指すにはイノベーションに役立つフレームワークが有益です。イノベーションにおけるポイントを整理したところで、有効なフレームワークを選定しましょう。
ニーズがないのにどうやってイノベーションが成功するか(マーケットに受け入れられるか)を調べればいいんだよ!?😫といういう課題が当然出てくるわけですが、役立ちそうなフレームワークを集めました。
ニーズがないのにどうやってマーケットに受け入れられるかを調べればいいんだよ!?😫という疑問に答えれそうなフレームワークを調べてみました。
ジョハリの窓にフレームワークを配置してみました。
- 4Pについてはプロダクトアウト視点で企業が一番詳しい分野なのでロングセラーからニッチまで網羅。
- 顧客視点の4Cはマーケットインの観点から顧客に寄り添ったフレームワークなので、ロングセラーからヒット商品のポジション。
- STP分析は、セグメント→ターゲティング→ポジションと最適な市場に商品を送り出すためのフレームワークなのでど真ん中。
- ジョブ理論は企業が見落としている顧客ニーズの源泉を探る理論なので、企業は知らないが顧客は少し知っているポジション。
- ブルーオーシャン戦略は誰も知らない新たな市場を作りだす戦略なのでこのポジションからスタート。
このように整理すると、イノベーションに役立ちそうなフレームワークは、ジョブ理論とブルーオーシャン戦略の2つになりそうです🤔
フレームワーク | 概要 |
---|---|
ジョブ理論 | 顧客本人が認識しているか・していないかは別として、顧客自身が抱えている課題(=ジョブ)に着目する。 |
ブルーオーシャン戦略 | 従来存在しなかったまったく新しい市場を生み出すことで、新領域に事業を展開していく戦略。 |
ジョブ理論とは
ジョブ理論とは「顧客のある特定の場面でのジョブ(=成し遂げたいこと)に注目しようという新しい理論」です。
ニーズは「顧客が商品・サービスに向けた関心などの現象」という意味で使われていることが多く、 一方で「ジョブ」はそのニーズが生まれたり(生まれなかったり)する源泉ということになります。顧客のニーズに応えようとする従来のマーケティング手法に置き換えるフレームワークを編み出したのがジョブ理論です。
従って、そこにニーズがまだ発生していなくても、ジョブを見ることでイノベーティブな新サービス・商品の将来的なニーズ・市場価値の期待値をよむことができるいう訳です。
ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム
ブルーオーシャン戦略とは
ブルーオーシャン戦略とは、従来全く存在しなかった新しい事業を展開することで、他社との競合を避ける戦略です。
ブルーオーシャンの反対は、レッドオーシャンと呼びます。レッドオーシャンは既存の産業で競合がひしめくマーケットです。基本的に産業を支配する歴史ある大手企業は、レッドオーシャンの中でトップシェアを取っている企業ということになります。
ブルーオーシャンを見つけ出すことは事情に重要です。3C分析でみるとブルーオーシャンの位置は簡単に確認できます。
このブルーオーシャン戦略は、イノベーションを起こすための戦略としてもとても有益です。
ブルーオーシャン戦略で成功を収めた企業は、競合がいない状態でグングンシェアを伸ばしていきます。しかし、よくよく周辺を見渡すと、iPhoneの様に、実は全く別の様々なレッドオーシャン市場のシェアを猛烈な勢いで奪っているのです。デジタル・ディスラプターとは、市場を破壊される側から見た視点ですが、市場を奪う側から見た視点ではブルーオーシャンなのです。
ブルーイノベーションを実現するためのフレームワークを紹介します。
バリューイノベーション
バリューイノベーションとは、業界の激しい競争要因(≒コスト)を排除し、業界がこれまで軽視していた新しい要因(≒新しい顧客価値)を強化してブルーオーシャンを作り出すフレームワークです。要するにレッドオーシャンの要因を排除して、ブルーオーシャンの要因を強化すれば、その先にバリューイノベーションが生まれるよねという話です。
アクションマトリクス
「取り除く」「増やす」「減らす」「付け加える」ことによって、ブルーオーシャンを作り出せないか検討するフレームワーク。
[新版]ブルー・オーシャン戦略―――競争のない世界を創造する
- 出版日:2015/9/4
- 著者:W・チャン・キム , レネ・モボルニュ
- ダイヤモンド社
大企業は破壊的イノベーションを選択できない
おいおい、おめー今さら何言ってんだっていう話ですが、、
ある程度大きなマーケットシェアを取っている大企業は、デジタル・ディスラプターに対して、同様な破壊的イノベーションで挑むことはできません。書き始めると長くなるので、また別の機会でまとめたいと思いますが、イロイロ詰めていくと結果的に非常に難しくなります。
大企業がディスラプターと対峙する方法は、私は2択あると思っておりまして、、既存事業と全く別の新しい組織を作るか、スタートアップに投資する。そして、段階的に既存ビジネスから新規ビジネスへ人材移動をおこなうべきとおもいます。あとは、破壊的イノベーションは避けていわゆる持続的イノベーションで挑むかです。
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