ECサイトでリテンションを高めるために外せない機能を挙げます。コンバージョン率(転換率)を上げる機能より、リテンション・再注文を上げる機能にフォーカスして整理いたします。
会員管理機能
ECサイトの会員機能です。会員機能がないECシステムは、よほど何かにニッチな用途に特化してる場合でもない限り、ほぼすべてのECシステムで対応できている機能だと思います。
お客様はリピート購入の際に、名前・住所などの個人情報を再度登録する手間が省けるメリットがあります。システムによってカード情報なども保持できます。
また店舗側のメリットとしては、デモグラ情報に加えお客様の購入履歴など様々な情報を蓄積できるため、マーケティング戦略野重要な情報源になります。
この辺の情報の最も重要なのは、購買してくれた顧客とまだ購入に至っていない見込み客の違い、あとF2転換を果たした顧客と1回だけのコンバージョンで終わっている顧客の違いを把握することが重要です。
デモグラなり傾向をつかめば広告の出稿などにとても役立ちますよね。
フォローメール(ステップメール)
お客様を気遣うようなステップメールは非常に重要です。ステップメールとは一度メールを配信後、一定時間をおいて次のメールを自動で配信する機能です。
ご利用中のECシステムで対応できなくても、外部のサービスと組み合わせるなどで代用できる場合があります。
初回注文のお客様に対してF2転換を狙うステップメールの例です。
商品発送日からの経過 | おもなメールの内容 |
---|---|
2日後 | 商品が無事に届いたかどうかの確認メール。 ※運送会社からお届け予定日など直接送信されている場合もあるのため、送信のタイミングは要調整。 「商品を発送いたしましたが、無事に届いているでしょうか?」 |
7日後 | 商品利用の様子をうかがうメール 「お届けの商品にはご満足いただけたでしょうか?」 |
14日後 | 商品を利用いただいている他のお客様の声をうかがいつつ、商品のレビュー投稿をお願いするメール 「この度ご購入いただいた商品に多数お声をいただいております。商品のご感想をお聞かせいただけると幸いです。」 |
21日後 | リピートを促すクーポン付きメール ※リピート購入するベストなタイミングで送信 「ご購入いただいた方限定のお得なクーポンのお知らせです」 |
このようにして次の購入につなげていきます。
2回目以降のリピート注文は別のステップメールを組みましょう。リピートのお客様にたいしては、基本的には定期購入の提案をメインにするべきなので購入者向け定期メルマガをリピート施策の軸としてステップメールは抑え気味でよいと思います。
また、シナリオメールに対応している場合は、メールの開封状況などユーザのアクションや状態に合わせてメールの出しわけを行うことができます。
メールマガジン
購入者向け(特に定期購入者向け)と非購入者向けでは目的が異なるため内容を分けるようにします。
購入者向け(定期購入者)メルマガ
購入者向けでは、未購入者と異なり、再購入を促す必要があるためそのために必要なコンテンツを網羅しましょう。
定期販売プランを提供している場合は、定期購入か否かで分けるのも効果的です。
特別感の演出
購入者に対しては特別感を演出するようにします。「お客様だけ」を演出してえこひいきするようにしましょう。
後ほど紹介しますが、お得意様専用のシークレットページを用意しましょう。
モチベーションの維持
お客様は最初の注文時は、お悩みごとを解決することを期待して購入しているため、商品に対する期待度や知識が最も高い状態です。
しかし購入後、時間の経過とともに期待度や商品知識も薄れていきます。やがてはリピート購入や定期購入の停止につながります。
したがいまして、「再購入を続ける効果」「効果の根拠」「他のお客様の声」など、同じ内容を様々な別の角度から伝え続けることが重要です。「担当者を変える」「季節性の観点を含める」などです。
また、お得な定期購入プランを用意している場合は、定期購入へ切り替えの提案は必ず行いましょう。
特にサブスクリプションでは重要になります。
フォローアップ
使い続けてもらうためのフォローアップをしましょう。メンテナンスや季節に合わせた活用法などのtipsの提案や、定期販売などであれば使い続けてもらい効果を最大限実感してもらうために役立つ情報配信を心がけましょう。
例えばプロテインなどの食品の定期販売の場合、トレーニングやGYM通いを継続してもらうことが重要になります。プロテインの効果効能もお伝えしつつ、トレーニングのサポートになる情報も欠かさずお伝えし、モチベーション維持に貢献する必要があります。
非購入者向けメルマガ
非購入者向けメルマガは、最初の1回目の注文にフォーカスしたメールの内容になります。未購入であってもメルマガに登録しているということは、かなり商品に対して興味は強いといえます。
基本的には新規のコンバージョンに向けたステップが目的ですが、もともと定期購入だったお客様が解約した後も配信し続けるメルマガの位置づけにもなりえます。
クーポン機能
クーポンは特定のセグメントやピンポイントで狙って購入を促すためのツールです。クーポンをうまく活用してリピート購入につなげましょう。
クロスセル施策
たとえば、いつも定期購買頂いているロイヤリティの高い顧客に、お得なクーポンを発行して別の商品の購買も進めましょう。
F2転換施策
F2転換とは、一度購入いただいたお客様にもう一度購入いただくことをいいます。
初めて商品をご購入頂いた方に、関連商品を購入できるクーポンを発行して再び購入してもらいましょう。
例えばノートパソコンを購入いただいたお客様に、周辺機器のクーポンをお配りしたり、ダンベルを買っていただいたお客様にプロテインのクーポンをお配りしたりなどします。
特にF2転換率は非常に重要です。だいたい2回購入いただいたお客様は3回目以降も購入いただける比率が非常に高いため、小さなものでも買ってもらいましょう。
休眠顧客の掘り起こし
季節やイベントなどに合わせて既存客にクーポンを配りましょう。リピートしなくなった顧客に対して、思い出してもらって再購入のきっかけを作りましょう。
こちらのページで一年間のイベントをまとめています。日別にtwitterなどでトレンド入りしやすいハッシュタグなどもまとめていますので、ぜひ活用ください。
レビュー機能
シークレットぺージ(特定ユーザ専用ショッピング機能)
会員専用の特売ページです。たとえば、在庫が過剰に余ってしまった商品を特別価格で会員向けに販売するなどで、効率よく特別感を演出することができます。
定期販売
リピート購入でもっとも重要な定期販売です。一度申し込みを獲得すると解約するまで自動的に販売できる契約です。リピート購入は定期購入をしていただくためのお試しといっても過言ではないでしょう😄
とにかく定期購入に寄せるようにしてください。特にF2転換以降は積極的に定期販売への契約に切り替えるようにおすすめしましょう。
以前、単品販売に見せかけて、小さい字で気づかれないように購入回数の縛りを設けたり、後から知ったお客様が解約できないような仕組みにしたりなど、顧客をあざむく商売が横行し社会問題になったことがあります。間違っても、そのようなお客様をだますような事のないように努めましょう。
使い続けてもらう
定期販売の最大のポイントは、契約を継続していただくところにあります。特に複数回繰り返してもらえないと利益が出ないような、競争力のある価格設定の場合、継続契約は死活問題です!
ここで重要なのは解約率を減らすという視点ではなく、使い続けてもらうという視点で施策を考えることです。解約率を減らす方向での施策は非常に多くのトラブルの原因となってきました。従いましてあくまで、効果を実感していただき、使い続けてもらう視点で考えましょう。
美容・健康食品などはいかに使い続けてもらうかが、契約継続のカギになりますので、定期的なフォローを心がけましょう。
ECプラットフォームの対応状況
だいたいどのプラットフォームも基本的な機能はそろっています。ShopifyはカナダのECで、それ以外はすべてに国産です。実際使ってみるとわかりますが、Shopifyは日本のECでは当たり前の機能がなかったりします。しかし、Shopifyの凄いところはサードパーティのの無料アプリでほぼ必要な機能を補完できる環境があります。
以下に今回紹介した機能の対応状況をまとめました。日本のEC勢はステップメールやシナリオメールが弱そうですね。ただ、このステップメールやシナリオメールは外部サービスで補完できるためそこまで気にする必要はないと思います。
Shopify | STORES | BASE | COLORME | MAKE SHOP | |
会員管理機能 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
ステップメール | 外部アプリ | ◎ | |||
シナリオメール | 外部アプリ | オプション | |||
メルマガ機能 | 外部アプリ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
クーポン機能 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
レビュー機能 | 外部アプリ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
シークレットぺージ | ◎ | ◎ | ◎ | ||
定期販売 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | |
予約販売 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | |
ポイント機能 | 外部アプリ | ◎ | ◎ |
参考ページ:Shopify機能一覧表
参考ページ:BASE機能紹介
参考ページ:STORYS機能紹介
参考ページ:COLORME機能紹介
参考ページ:MakeShop主要機能ガイド
オフラインでの対応
ECシステムにはない機能になりますが、これが何よりも重要なので最後に書いておきます。まず、商品をお届けの際の箱や同梱物です。メールやラインよりも開封率が高いといえます。
箱は購入者と一番初めに接するタッチポイントで期待値の最も高まる瞬間でもあります。箱をテープなどで封をするときも、ガムテープの端を少し折り曲げて開けやすくするといった小さなホスピタリティから始まります。
箱に同梱するお礼状などは商品の上に置くようにしましょう。読まれる可能性が高くなります。
まとめ
リピート施策に必要な機能と使い方について簡単に整理してみました。ここで紹介している機能を使って設定した後は、実際の状況を把握して分析して改善し続けることが重要になってまいります。
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