データをマーケティングに活かす多変量解析

分析・データサイエンス
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マーケティングDXを推進し様々なデータを収集できるようになると、さまざまなマーケティングに利活用できるようになります。経験や勘に頼ることなく、データを元に統計的に分析し次の打ち手や方針を導く方ことができます。

ここでは過去の実績データを元に未来を予測する代表的な多変量解析を紹介します。多変量解析とは、多数のデータ(変数)間の相互の関係性をとらえるために使用する統計的手法です。

多くのデータからパターンを見出すことにひいでた手法となります。

統計分析を始める前の要点

分析にはさまざまな手法があるため、必要に応じて使い分ける必要があります。どのように使い分けるかいくつかポイントがあります。

分析の目的の明確化

分析には目的があります。統計では目的変数で示すことになります。その目的変数の原因となる値を説明変数といいます。説明変数が原因で、目的変数が結果と表現することもできます。目的変数と説明変数の2種類を確認しましょう。

例えば、以下のような関係です。この目的変数(y)と説明変数(x)に相関関係があるのではないか?ということです。

目的変数(y)の例説明変数(x)の例
学習の例テストの点数勉強した時間
ダイエットの例体重の増減運動時間

数式では以下のようにあらわせます。

複数の説明変数がある場合にも対応できます。マーケティングで分析モデルの活用するさいは大抵説明変数xが複数存在するケースが多いでしょう。

例えば、広告予算から売上を予測したいとします。この場合、広告予算が説明変数(x)となり、売上が目的変数(y)となります。

数字の性質

数字には量的変数と、質的変数に分類できます。

量的変数とは、物事の量を示す数値です。例えば売上、人数、確率、気温、面積などは量的変数といいます。

また、質的変数とは量的な意味を持たないカテゴリーや分類ための数値です。例えば、男女、天気、成約/非成約、来店/非来店、アンケートの回答、順位などを数値で表したものを質的変数といいます。統計では成約・非成約の2つがある場合と、成約したら1、成約しなければ0といった数値で表現します。この0や1をダミー変数といいます。

この量的変数と質的変数は統計の世界では、性質が大きく異なる概念であるため明確に区別する必要があります。

量的変数量を数値で表した数人数、売上、費用、気温、面積
質的変数カテゴリを数値で表した数男女、店舗、来店/非来店、買った/買っていない、天気

統計の種類

目的変数と説明変数、量的変数と質的変数の組み合わせで以下のような分析手法があります。

分析モデル目的変数(y)説明変数(x)活用事例
重回帰分析量的変数量的変数広告費と売上の相関を分析
ロジスティック回帰分析
判別分析
質的変数量的変数販促費に対し来店するか否か分析
数量化1類量的変数質的変数天気と曜日の組み合わせと仕入れの相関を分析
数量化2類質的変数質的変数どの広告をみた見込客が購買に至ったか相関を分析

また、目的変数や説明変数を持たない分析もあります。主にカテゴリーに分類に役立ちます。

分析モデル目的変数(y)説明変数(x)活用事例
クラスター分析なし量的変数過去の購入金額などを元に顧客をグループに分類する。
数量化3類なし質的変数アンケートの結果から回答者と回答項目のそれぞれをグループに分類

目的変数を持つ分析モデルの解説

まずは説明変数で目的変数を導く分析モデルの紹介です。順番に覚えなくても、必要な分析モデルをピックアップして学習し活用しましょう。

重回帰分析

重回帰分析は、いくつかの説明変数を量的変数を使用し、1つの量的編巣による目的変数を予測する分析モデルです。例えば、過去のデータを元に、気温と販促費からアイスクリームの売上の予測をおこないす。

例えばマーケティングでは以下のようなケースで活用できます。

  • テレビ広告、リスティング広告、SNS広告などの広告費と売上などの過去のデータを元に相関関係を求め、今期の広告費から売上予測を行う。

ロジスティック回帰分析

ロジスティック回帰分析は、説明変数に量的変数を使用し、目的変数を質的変数で求めることができる分析モデルです。例えば、広告費、人数などから、Yes/Noや〇×など2値のみをとる質的変数を導く場合に有効な分析モデルです。Yes/NoのうちYesになる確率を求めることができます。

例えばマーケティングでは以下のようなケースで活用できます。

  • 販促費に対して成約するか否か?来店するかしないか?などで活用できます。

判別分析

判別分析とは、いくつかのグループに分類されているデータを元に、それらが「どういう基準で分けられているのか」という関係を解析することで、分類されていないサンプルがどのグループに属するかを特定する分析モデルです。

例えばマーケティングでは以下のようなケースで活用できます。

  • 自社の顧客リストの特徴から、商品を購入する可能性の高い見込客から抽出したい。

数量化1類

数量化1類とは、説明変数に質的変数を使用し、目的変数を量的変数で求めることができる分析モデルです。例えば、過去の事績を元に、曜日と天気の組み合わせで仕入れの量の相関を求めることで仕入れを予想できます。

基本的には重回帰分析と同じになりますが、説明変数が質的変数である点が大きな違いとなります。

例えばマーケティングでは以下のようなケースで活用できます。

  • 過去の天候、気温、曜日、月と販売数のデータを元に相関関係を導き、明日の天気予報を元に販売数を予測し仕入れを決める。

数量化2類

数量化2類とは、説明変数に質的変数を使用し、目的変数を質的変数で求めることができる分析モデルです。例えば、過去のデータを元にどの広告を見たユーザが購入に至ったか関係性を求め関連性を評価することができます。

例えばマーケティングでは以下のようなケースで活用できます。

  • 購入した携帯電話の満足度アンケートで「デザイン」「重さ」「サイズ」「価格」「機能」「総合」それぞれの満足度を問うて「デザイン×重さ×サイズ×価格×機能」と「総合満足度」の相関を求め顧客のニーズを調べ改善点を導く。

目的変数を持たない分析モデル

次に目的変数を持たない説明変数のみの分析モデルの解説です。

クラスター分析

クラスター分析とは量的変数による説明変数を元にカテゴリに分類する分析モデルです。複数のサンプルを似ているものどうしでグルーピングするということです。

例えばマーケティングでは以下のようなケースで活用できます。

  • 顧客にアンケートをおこない「デザイン」「重さ」「サイズ」「価格」「機能」それぞれの購入時に何を重視した点をとい、何を重視するか顧客をグループに分類する。
  • 消費者に対し自社ブランドと競合ブランドを「デザイン性」「機能性」「品質」「使いやすさ」などの評価を問いブランドをグループに分類する。

数量化3類

数量化3類とは、目的変数を持たず、質的変数を元に説明変数を元にカテゴリに分類する分析モデルです。たとえば、

例えばマーケティングでは以下のようなケースで活用できます。

  • 自社のホームページのエンゲージメントしたページ別に、ユーザをいくつかのグループにまとめる。

まとめ

このように自社のさまざまなデータを扱えるようになると、データを利活用の幅が広がります。データを活用しマーケティングの観点から商品やサービスの改善に活かし、作った商品を売るのではなく、売れる商品を作るよう商品サービス開発に活かすことが大切です。

まだ社内のデータを活用できる状態に至れていない場合、データ基盤を構築する必要があります。データ基盤についての考え方は「マーケティングDXとは?成功に導くデータをフル活用するコツ」にまとめたのでご参照ください。

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