リピート販売のかなめとなるF2転換の話です。F2転換率を高い状態で維持できると、顧客の数が日増しに増え続け売上も向上します。F2転換率がわかると今後の売上の状況が見えてきます。
F2転換率とは
F2転換率とは、1回目の購入者のうち、2回目購入にいたった顧客の比率です。F2転換率は食品、アパレルや化粧品、通信販売など何度もリピート販売するビジネスでは非常に重要な指標です。
F2転換のFとはFrequencyの略で、1回目購入者をF1、2回目購入者をF2、3回目購入者をF3といいます。
たとえば、商品を1回購入頂いたお客様が1,000人いて、2回目購入頂けたお客様が300人いた場合、F2転換率は30%という事になります。
Frequency | 購入回数 | 顧客数 | 転換率 | |
---|---|---|---|---|
F1 | 1 | 1,000 | 初めての商品購入 | |
F2 | 2 | 300 | 30% | 2回目の商品購入 |
F3 | 3 | 180 | 60% | 3回目の商品購入 |
どんな商品・サービスでも、まだ一度も商品やサービスを利用していない新規顧客にとって、最初に購入する心理的ハードルがとても高い状態です。
一方で、一度購入経験のあるお客様が2回目購入いただくときは、すでに一度商品やサービス体験してるので、初めて注文した時のような心理的ハードルはなくなっています。
とても良い商品・サービスだったと感じてくだされば、2回目の注文のハードルはグッと低くなるわけです。しかし、1回目購入の満足度が低ければ2回目購入は厳しくなります。したがって、2回目購入に至った顧客の大半は顧客満足度が高いといえます。
その結果、2回購入に至った顧客(=F2)が3回目以降のリピート注文の転換率は一般的に高くなります。多くの場合50~80%を推移します。
F2転換率が与えるインパクト
F3転換率以降は比較的高く推移するのに対し、F2転換率はその商品やサービスなどの影響を受けやすくかなりムラがあります🤔
では、F2転換率を10%の場合と、30%の場合を比較してみましょう。F3以降の転換率を70%で固定してみます。
Frequency | 購入回数 | 顧客数 | 転換率 | |
---|---|---|---|---|
F1 | 1 | 1,000 | 初めての商品購入 | |
F2 | 2 | 100 | 10% | 2回目の商品購入 |
F3 | 3 | 70 | 70% | 3回目の商品購入 |
F4 | 4 | 49 | 70% | 4回目の商品購入 |
Frequency | 購入回数 | 顧客数 | 転換率 | |
---|---|---|---|---|
F1 | 1 | 1,000 | 初めての商品購入 | |
F2 | 2 | 300 | 30% | 2回目の商品購入 |
F3 | 3 | 210 | 70% | 3回目の商品購入 |
F4 | 4 | 147 | 70% | 4回目の商品購入 |
したがって、2回目のリピート購入のハードルをいかに突破できるかが、今後の購入に繋がるかの決め手となるため、F2転換率の重要性が注目されるのです。
F2転換率を上げる方法
以上のことより、F2転換率を上げることがリテンションに大きく影響を与えることがわかりました。
様々な販促施策がありますが、たいてい新規獲得施策(アクイジション)と顧客維持(リテンション)に分けて施策をおこないます。そして、リテンション施策は、F2転換施策と、F3以降のロイヤル化施策に分けて実施する事が大切です。
このF2転換を向上させるための施策として様々な手法がありますが、重要な事が3つあります。
「商品・サービス」「コミュニケーション」「タイミング」の3つです。
施策の例:タイミングを計る
多くの商品やサービスには、提供するベストなタイミングがあります。たとえば、美容院であれば2~3ヶ月毎に髪を切ることが多いのではないでしょうか?飲食店であれば、「朝食」「昼食」「夕食」のタイミング。また、シャンプーや石鹸も日々使っていると使い切ったタイミングが次の商品を買うタイミングとなります。
ご購入いただいた商品が消費されるタイミングはいつか?それを知ることが重要です。例えばシャンプーをご購入いただいたお客様には、使い切ってしまいそうなタイミングの直前に詰め替え用のお得なクーポンなどを送るといった具合です。
早すぎても、まだシャンプーはたくさん残っているため詰め替え用のシャンプーに興味を引いてもらえないでしょう。一方、完全に消耗してしまった後だと、きっとそのお客様は、すでにシャンプーが必要になっているので、別の競合商品をすでに買っているかもしれません。
既に何度もご利用いただいているF3以降のお客様の購入情報から、最もベストな間隔を知ることができます。商品ごとにベストなタイミングを計りましょう。
CRMを活用し顧客毎のベストなタイミングでアプローチを行います。
施策の例:商品・サービス
また、顧客は1回目に何を購入いただくべきか?これは非常に重要です。F2しやすい商品とそうではない商品がそもそもあります。
まず、F2転換以前に日々の生活で必要となる商品はリピートを狙いやすいといえます。例えば、石鹸・シャンプーなどのような消費財や、飲食店や美容院などのサービスです。つまり購入頻度や利用頻度が高い商品・サービスは一般的にリピートを狙いやすいといえます。
購入頂いた商品を日々ご利用いただき、消費して再び必要になるときに同じ商品をご購入いただくことが、基本的な戦略となるわけです。
しかし、シャンプーの場合、シャンプーがなくなる直前のタイミングで、事前にお得な詰め替え用のシャンプーを提案すると、リピートを確保しやすくなります。もうシャンプーの残量が少ないタイミングであれば、詰め替え用シャンプーはブランドスイッチを防ぐ効果に期待できます。
また、ノートパソコンを購入いただいたお客様には、ノートパソコン用のキャリングバッグや、ACアダプターなど関連商品をレコメンドするなども有効です。また、購入から一年後に増設用のメモリーのレコメンドも有効でしょう。
このように、もっと重視すべき事はたとえ別の商品であっても再びご購入いただくという事です。何度も繰り返しご購入いただき、お客様との関係を維持継続することが重要です。
また、取扱商品の中でも1ヶ月以内に消費してしまうものと2ヶ月で消費してしまうものでは、1ヶ月以内で消費してしまう商材の方がリピートしやすいといわれます。一般的に言われるのは1ヶ月以内に消費できるものはF2転換を狙いやすいといわれています。
取扱商品が様々ある場合は、どの商品をF1で売ればF2転換しやすいか分析することが重要です。
ちょっと分析が必要ですが、UNIQLOは寒くなるとヒートテックの広告を非常に多く打ちます。ほかにも数ある商品の中でヒートテックに絞るのはなぜか?これは間違いなくヒートテックがもっともF2転換しやすいからだと思います。
このようにF2転換しやすい商品を広告で取り扱うことで、LTVを伸ばすことができるのです。
このように、F2転換につなげやすいF1向け商品(UNIQLOのヒートテック)と、F2転換させるためのF2向け商品(シャンプーの詰め替え用商品)があるのです。
施策の例:コミュニケーション×タイミング
そして最後にお客様とどのようにコミュニケーションをとるかです。また、コミュニケーションはタイミングと密接に関連します。
例えばECサイトで商品を注文した時は、「注文を受け付けた」むねのメールを送ります。商品を発送したら「商品を発送の連絡と到着予定日時や配送状況の確認」などをメールで送り、到着予定日の翌日には「無事に商品が届いているか?欠品などないか?」確認のメールを送ります。
このように注文から初めの段階では、こまめにメールを送られると安心感を感じることができます。送った商品が消耗してしまう頃に、次の商品のレコメンドを送るといった具合です。
しかし、商品が届いたばかりのタイミングで別の商品のレコメンドをおこなっても、顧客は今手元に届いた商品をためしているので、心に全く響かないでしょう。
このように主にECサイトなどではメールでのコミュニケーションが主流ですが、昨今のOMO施策などでリアルの店舗でもメールやLINEなどで細かなコミュニケーションを行うことが増えてきております。
この辺の領域はCRMになるので、また改めて深堀して記事にしたいと思います。
F2転換率のまとめ
ということで、今回はF2転換のはなしをまとめました。いかがでしょうか?リテンションではF2転換が重要な事が伝わりましたでしょうか?また折をみて、もっとF2転換を深堀していきたいと思います。😉
以前、新規顧客と既存客の記事を簡単にまとめました。既存客によるリピート購入率が大きく売上を押し上げる話です。こちらを参考に新規顧客と既存客の性質の違いをご覧ください。
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