ペルソナとは?マーケティングの目的別作り方まとめ

persona販促・マーケティング
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いまさら聞けないペルソナ(persona)とは。ペルソナをきちんと整理することで顧客像を把握し、戦略の策定やマーケティング施策に役立てる事ができるようになります。簡単にエッセンスだけまとめましたので、知りたい見出しをクリックしてサクッと見つけてください😄

ペルソナとは

ペルソナとは商品やサービスの最も象徴的な利用者像です。実在する人物であるかのように細かく設定します。年齢、性別はもちろん、趣味や趣向、生活パターンなど非常に細かく設定して、一人の特定の人物を描くように設定します。

もともとは心理学で用いいられていたようですが、マーケティングでも応用されるようになりました。

ペルソナを作るメリット

ペルソナは、マーケティング戦略や商品・サービス開発などさまざまな分野で役立ちます。具体的にどのように役立つのか整理します。

顧客視点に基づく企業戦略の原点

さまざまな事業戦略を立てる上で「自社」「顧客」「競合」の3つの視点でのチェックが必要となりますが、この3つのうちの顧客視点においおては、ペルソナがアイデアの源泉、意思決定の主軸となります。

事業計画、ブランディング戦略の策定、マーケティング戦略の策定、製品・サービス開発などあらゆる顧客視点での戦略策定時にこのペルソナに立ち返ります。

このようにペルソナによって一気通貫した顧客視点での事業戦略を構築し、効果の最大化を狙えます。

ペルソナで事業全体の一貫性をはかる
ペルソナによって一気通貫した事業戦略を実現し効果の最大化をはかる。

事業全体で共有できる主要顧客のペルソナの他に、戦略・施策ごとに顧客の若返りを図りたいなどといった部分最適を図ったペルソナの最適化も重要です。

個別最適で全体最適からズラすことも重要

顧客に響くインサイトをつかむ

顧客に響く商品・サービスの開発、メッセージを届けるためには、顧客理解がかかせません。顧客を取り巻く世の中の動向・変化を把握し、顧客のインサイトに迫るためには、顧客がまだ顕在化していない(自覚していない)ニーズに迫る必要があります。

そのためには、ターゲットの設定では全く足りず、ライフスタイルや価値観まで設定したペルソナが深堀するうえで欠かせません。

細かく人物像を設定することで、その人物のニーズや課題を深堀していくことができるのです。

顧客視点で意思決定ができる

1人のペルソナの欲求やニーズを満たすことで似たニーズを持つ人も満足させることができるため、顧客視点で商品やサービス開発、マーケティング施策を行うことができます。

メンバーとの共有認識

商品・サービス開発、マーケティング戦略にかかわるメンバー全員の顧客や利用者のイメージを共有するうえでペルソナは大いに役立ちます。ターゲティングのように都内在住30代女性といった設定では、あまりにもメンバー間の認識の齟齬が大きすぎるのです。

意思決定の判断軸をメンバー間で統一することで、メンバー間の判断軸のブレを最小に抑えることができ、素早い合意形成を図れ、メンバーで深堀することができます。

ペルソナとターゲットの違い

ペルソナとターゲットはそもそも目的が違います。ターゲットは区切った市場(セグメント)を指すのに対し、ペルソナはピンポイトに人物像を指すのです。

ターゲットは、広告・プロモーションの費用対効果を高めるために、どこにリーチするべきか、全体の市場からセグメントを絞った集合です。主にデモグラフィック情報(年代、性別、年収、既婚・未婚など)やジオグラフィック情報(居住地、勤務地など)などでセグメントします。

一方でペルソナは、リアルな顧客視点で顧客のインサイトを深堀するためのものです。メンバーで顧客のインサイトを深堀するためには、ペルソナのように細かく設定し、メンバー間の共通認識が重要になってくるのです。

ターゲットペルソナ
persona
年齢20代から40代34歳
性別女性女性
お住まいの地域関東圏東京都世田谷区
家族構成既婚者夫、長女(2歳)3人家族
趣味Instagramに手料理を毎日投稿している
仕事社会人
世帯年収600~1000万円
15時まで時短勤務
世帯年収900万円
休日週に1度は家族でお出かけ
ターゲットとペルソナの違い

ペルソナは目的別に作る

ペルソナとはどのような人物が適切なのか?🤔ビジネスモデルやプロモーション等目的に応じてどのようなペルソナを設定するのか使い分ける必要がります。

ロイヤルユーザーをペルソナにするケース

多くのビジネスの場合、上位2割のロイヤルユーザーが8割の売上を上げてることが多くあります。そのような場合、ロイヤルユーザーをペルソナに据えることで、ロイヤルユーザーのインサイトを深く理解することができます。

既存客をロイヤルユーザーに育てたい、ロイヤルユーザーを増やしたい場合は、ロイヤルユーザーをペルソナに設定します。

ロイヤルユーザからペルソナを抽出するパターン
ロイヤルユーザからペルソナを抽出するパターン

顧客に詳しい社員にヒアリングする

ロイヤルユーザーをペルソナとする場合、実際のロイヤルユーザーがどのような人物像か知っていそうな社員にヒアリングしましょう😄B2Cであれば顧客と日々接している販売員であったり、B2Bであれば営業マンであったり、ロイヤルユーザーに日頃から接している社員に、どのような顧客が自社が狙うべき顧客像であるか?ヒアリングします。

気を付けたいことはその社員が個人的に攻めやすい顧客像など、偏りが出ることがありますので、複数の社員にヒアリングを重ね総合的に取り決めることが大切です。

また、ECサイトのような顧客と対面する機会が少ない場合は、カスタマーサポートの担当者など接点がありそうな担当者に相談してみましょう。思わぬ収穫が意外とあります。

また、自社がは製品の製造だけで、販売は小売店に卸しているため全く接点がないという場合は、小売店にヒアリングしてみたり、アンケート調査を行ったり、実際に売り場に張り込んで調査することも有効です。

企業にとっての理想的なロイヤルユーザーではなく、可能な限りリアルなロイヤルユーザーをペルソナにする必要があります。

獲得したいターゲットをペルソナにするケース

ロイヤルユーザーに近しいターゲットは十分に刈り取っていて、もう獲得効率が悪くなっているような場合は、獲得するターゲットのセグメントを広げる必要があります。

よって、広告・プロモーションでターゲットとなる代表的な顧客像をペルソナに設定する必要があります。

例えば、コアなロイヤルユーザは高齢者だが、これからは若いユーザを獲得したいなどの場合は、若いユーザを獲得する広告・プロモーションを実施する計画を立てます。当然ペルソナもターゲットである若いユーザーに設定します。

それにより顧客のインサイトの深堀することができます。

ターゲットからペルソナを抽出パターン
ターゲットからペルソナを抽出パターン

購入者と取扱い情報のペルソナが異なるケース

また、ペルソナをセレブに据えて商品開発をしたら、セレブしか買ってもらえないかというと、そんなことは決してなく、セレブに憧れる層が顧客になることがあります。

たとえば、女子大生やOLを想定読者像=ペルソナとしている雑誌が多くありますが、実際の読者層は女子高生によく読まれているという事もよくあります。この場合、雑誌記事のペルソナは女子大生やOLであるが、雑誌広告のターゲティングは女子高生という事になります。

ペルソナとターゲットの明確な違いの例です。ターゲットは市場そのものである性質がありますが、ペルソナは市場とリンクしないのです。

ターゲットが憧れる像と実際に購入するペルソナを策定します😊

購入者と利用者が異なるケース

次に商品の利用者と購入者が異なる商材・サービスなどの場合のペルソナのお話です。

例えば商品は10代の女の子向けの人形だが、実際の購入者は利用者の親である場合などです。学習塾や老人ホーム、子供向け玩具、お菓子などが該当します。

商品やサービスを利用するターゲットのペルソナと、その商品やサービスの購入の意思決定者のペルソナを作成します。マーケティングの4Pで分類すると、前者は主に商品・サービス開発の軸となりますが、ほかの価格やプロモーション、流通は、利用者の他意思決定者のペルソナも重要になるケースが増えます。

利用者と購入者が異なるケースのペルソナ(親子の例)
利用者と購入者が異なるケースのペルソナ

例えば、学習塾の場合、サービス内容や立地は生徒が軸になります。成績が高い生徒を中心にするのか、成績が真ん中あたりの一番のボリュームゾーンを中心とするのかなどです。広告プロモーション、金額に関しては、親に対してインサイトを把握することが重要が増します。

Product
商品・サービス
Price
価格
Place
場所・流通
Promotion
広告・プロモーション
学習塾親・子親・子
老人ホーム親・子親・子親・子
おもちゃ親・子
お菓子親・子

B2Bマーケティングでのペルソナのケース

B2Bビジネスの場合は、基本的にペルソナはファーモグラフィックス(企業ペルソナ)と、「担当者」のペルソナの2層構造になります。

ファーモグラフィックスは主な取引先の業界やビジネスモデルの違いなどで作り分けます。例えば電子部品を下ろしているメーカーであれば、顧客像としては、製造メーカーや販売代理店などになります。

ファーモグラフィックス
企業ペルソナ
業界、業界内売上順位、売上規模、従業員数、商圏
ペルソナ職種、職階、職歴、デモグラフィック情報、労働状況
B2Bにおけるペルソナの例

B2Bマーケティングでのペルソナのパターン
B2Bマーケティングでのペルソナのパターン

ある程度大企業をペルソナとする場合や、高額製品をあつかう場合は、「会社」「決裁者」「担当者」と3層構造のペルソナがより的確に深ぼれます。

例えば、B2B系saasサービスなどの新規獲得を目的としたバイヤージャーニーの例だと、フリープランやトライアルプランのペルソナは担当者になるが、有料プランへのアップセル施策は、担当者に加えて決裁者を分析することが重要になる場合もあります。

ペルソナの精度を高める

ペルソナで注意すべき点として、頑張って作ったペルソナが実際の顧客に乖離してしまう場合があります。つい、企業側にとって都合のいい実在しないペルソナを作ってしまうリスクは回避しなくてはなりません。

特にECサイトの場合などは誰も実際の顧客の顔を一度も見たことがない場合はなおさらです。このような事態を避けるためには、実際のペルソナに近しい人物に直接うかがう機会があればうかがう。もしくは、アンケートを取ることなどが有効です。

たとえば、ロイヤル顧客やターゲットにたいして、アンケートやインタビューを行い多数派や平均値・中央値を求めることにより、一層リアルなペルソナ像を完成度を高めることができます。

中には、毎月社長がお客様の家にうかがって話を聞くようにしているという企業もあります。

思い込みや先入観の排除

ペルソナ策定で注意すべきことは、個人的な先入観や思い込みを排除することです。特に定性的なサイコグラフィックデータでは、もともと持っているイメージや先入観・希望をつい反映してしまいがちです。

ここで調査員の先入観などが混じってしまうと、実際のペルソナと乖離してしまう原因になってしまいますので、客観的にデータを収集・整理するよう注意しましょう。

ペルソナに必要な項目

ペルソナをまとめる上で重要な項目は、目的から逆算して考えます。広告プロモーションのためのペルソナなのか?商品開発・サービス開発のためのペルソナなのか?横断的なプロジェクトで統一したペルソナなのか?目的を定めましょう。

そして、項目の種別は「デモグラフィックデータ」と「ジオグラフィックデータ」「サイコグラフィックデータ」「ベヘイビオラル」の4つに分類できます。各種別ごとに目的に応じて項目を決めていきます。

デモグラフィック(人口統計学的属性)データ例

デモグラフィックデータとは、ペルソナの個人的な項目となります。デモグラフィック情報をきちんと定義することで、ペルソナがマーケティング活動全般において非常に役に立ちます。

  • 年齢、性別、お住いの場所
  • 仕事(勤続年数、役職、勤務地、勤務時間)
  • 最終学歴
  • 恋人、配偶者の有無、家族構成
  • インターネットの利用状況、利用時間、使用するデバイス
  • 年収

といったところが代表的な項目になります。

B2Bであれば、役職のほかに職種など重要な項目になりますが、B2Cとなると可処分所得などが重要になってまいります。商品購入やサービス利用に影響を与えそうな項目を深堀しましょう😉

ジオグラフィック(地理学的属性)データの例

ペルソナがどこに住んでいるのかなど、エリアに関する情報です。ジオグラフィックデータをきちんと定義することで、ペルソナが広告戦略でターゲットを絞るセグメントに非常に役立ちます。

  • 住んでいる場所(国、都道府県、駅までの距離など)
  • 勤務地、通学先、よく出かける場所
  • 都心か田舎か、駅から近いか遠いか

サイコグラフィック(心理学的属性)データの例

サイコグラフィックデータをペルソナに取り込むことで人物像が飛躍的に明確になります。デモグラフィックデータだけでは、人物像に迫ることはできません🙄サイコグラフィックデータをきちんと定義するとデザインやコンテンツ、クリエイティブのトンマナを定めるうえでペルソナが非常に重要に役立ちます。

サイコグラフィックデータは、デモグラフィックデータと異なり定性データが中心になるため、人によって解釈が異なる場合があります。先入観を排除して言語化し共有する必要がります。

目的から逆算

漠然としたターゲットに対して、以下のようなことをペルソナで定義することで、様々な施策の方針の判断基準となります。

  • ニーズ・ウォンツを定義
    • 抱えている課題、やってきたこと
    • 短期・中長期的なゴール
    • 悩み、不安、不満
    • トレンド、流行り
  • 願望・興味・関心・好みを定義
    • 気になるタレント・モデル・女優・Youtuber
    • 習い事、習得したいこと、めざしていること
    • 好きなもの、嫌いなもの
    • 得意なこと、苦手なこと
  • 意思決定の決定要因を定義
  • モチベーションの源泉を定義

このようにたくさんありますが、「不安」「不満」「悩み」「願望」などを、読み返したときにサッとわかるようにすることが大切です。

AIOアプローチ

ライフスタイルと消費行動をとらえる上でAIOアプローチという手法が代表的です。このアプローチでは、消費者のライフスタイル特性をActivities(活動=どのようなことに時間を使っているか)、Interests(関心=どの様なことに興味・関心を持っているか)、Opinions(意見=政治や社会問題など様々な出来事について、どう思っているか)の3つの側面で捉えようとするものです。

  • どのような事に時間をつかっているか
    • 仕事、趣味、エンターテイメント、バケーション、クラブ会員、地域社会への参加、スポーツ、ショッピング
  • どのような事に興味関心をもっているか
    • 家族、家庭、仕事、コミュニティ、レクリエーション、ファッション、食事、メディア
  • 様々な出来事についてどう感じているか
    • 自分自身について、社会問題、政治、ビジネス、教育、経済、商品、文化、未来・将来

参考サイト:消費者行動理論をMRの企画・分析に生かす(8)

イノベーター理論

取り扱う商品のプロダクト・ライフサイクルがどの辺に位置しているかによって、ユーザ層が異なってきます。ペルソナ策定にも大きく影響を与えてくる分野になってまいります。

ターゲットとなるペルソナが位置するのは「イノベーター」「アーリアダプター」「アーリーマジョリティ」「レイトマジョリティ」「ラガード」のいずれに該当するのか書き出しましょう。

プロダクト・ライフサイクル

ベヘイビオラル(行動学的属性)の例

ベヘイビオラル(行動学的属性)を整理します。公式サイトへのアクセス状況は?よく見るページはどのページか?また、普段よく見る他社WEBサイトは?どのようなアプリを使用しているか?といった行動に関する情報です。

ペルソナのロイヤリティや主にカスタマージャーニーマップでなどのタッチポイントを整理する際に重要になってまいります。

  • 良く購入する商品名、購入回数、購入頻度、購入の決め手
  • 比較・検討した競合商品、
  • サイトへのアクセス回数、よく見るページ
  • よく利用する他社サイト、他社アプリ

生活パターン(可処分時間の定義)

商材によってはペルソナの生活パターンなども定義します。テレビの視聴率を上げたい、ゲームも利用率を上げたいなどといった可処分時間を奪い合いで、本来なら競合ではなかったサービスが競合になるケースが多く見られます。そのような生活スタイルを定義することで、ペルソナの可処分時間を狙う戦略策定に役立ちます。

平日休日
7:00
8:00起床
9:00通勤
10:00出社+勤務時間起床
11:00朝食
12:00ジム
13:00ランチ(外食)ランチ(外食)
14:00勤務時間読書
15:00買い物などに出かける
16:00
17:00
18:00帰宅
19:00夕食
20:00退社テレビをみる
21:00夕食(コンビニ弁当)
22:00ブログを書く子供の勉強を見る
23:00
24:00風呂に入る風呂に入る
01:00就寝読書
02:00就寝

以上が代表的な項目となります。

ペルソナの項目の設定方法は様々あるため、迷いますがサービス利用や商品購入の意思決定に影響を与えると考えられる項目は漏れなく設定しましょう。

まとめ

いかがでしょうか。メンバーで共通認識をもてる顧客の視点で戦略を立てるには顧客を知ることから始まります。

ペルソナは作って終わりではありません。ペルソナを設定しても世の中の環境の変化や、あるいはペルソナ自体の生活環境の変化によって、当然絶えず変化し続けます。

定期的に見直すことが非常に重要になってまいります。商品やサービスを利用しているメインのユーザがどのように変化しているか、定期的に把握できるように努めましょう。

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