アンケートを実施する上での抑えるべきコツをまとめました。アンケートはうまくやらないと、いざ集計する段階で、あれも聞くべきだったとか、この設問は意味がなかったなど、思惑通りに集計できないケースはよくあります。正しい手順でおこなうことで多くの問題を回避することができます。
アンケートの作り方のコツ
成功するアンケート調査にはコツがあります。以下の順番でアンケートの準備をすすめるとスムーズに進めることができます。
- アンケートの目的を明確にする
- アンケートの対象者や内容を整理する
- 目的を果たすレポートを作成する
- レポートに必要なアンケートの項目を設計する
- アンケートの実施
- レポートの作成
アンケートを作るコツは、アンケート項目を考える前にレポートを作成することです。アンケートの改修して必要なレポートが完成するかしっかりと吟味します。
アンケートの目的の明確化
アンケートの作り方で最も重要なことは目的を明確にすることです。アンケートの目的によって何を、誰に、いつ、どこで、何人に聞くのか変わってまいります。主に以下のような目的でアンケートは非常に有効です。
目的:ペルソナの精度を高めたい
ペルソナとは自社の具体的な顧客像や、マーケティング施策のターゲット像です。想定しているペルソナが実際の顧客やターゲットと乖離していないかアンケート調査で確認・補正できます。
ペルソナは、日を追うと変化するため1~3年に一度調査を行い是正していくことが重要です。ペルソナについてはこちらで説明しています。
目的:顧客ロイヤリティを調べたい
顧客ロイヤリティとは、ブランドや商品、サービスに対する「信頼・愛着」のことを指します。アンケートにより、現在の顧客が以前と比べてどの程度、ブランド・商品・サービスに信頼・愛着を感じていただけているかを調査できます。
一般的に新規顧客に比べ既存客は、5倍程度効率よく収益に繋げられます。既存客のロイヤリティもしくは不満を感じる点を把握することは非常に重要です。
顧客ロイヤリティを図る際はNPSという指標をよく使います。NPSとは「Net Promoter Score(ネットプロモータースコア)」の略称で、企業や商品、サービスへのお客様の愛着度を示す「顧客ロイヤリティ」を測る指標のひとつです。0~10の11段階に設定し中央が5となります。
目的:顧客満足度を調べたい
顧客に対して何か提供したサービスのあと、顧客の満足度を調査することで、サービスの品質をアンケートで図ることができます。例えばカスタマーセンターやカスタマサーサクセスの接客の顧客満足度などを確認するなどです。
顧客満足度は主に以下の3つの指標をおさえると顧客満足度を把握しやすくなります。
- GCR(Goal Completion Rate:目標達成率)
- CES(Customer Effort Score:顧客努力指標)
- CSAT(Customer Satisfaction Score:顧客満足度)
目的:効果的なマーケティング施策を導きたい
見込客に対しどのようなアプローチが有効なのか。アンケート調査によって絞り込む指針を導くことができます。ここで重要なのは、いかに具体的な施策にまで落とし込めるか深掘りすることにあります。
ターゲットは普段どのような事に興味関心があり、どのようなメディアに接しているのか。アンケートを行うことによってターゲットを深く理解することで適切なマーケティング戦略の調整に役立ちます。
この場合アンケート調査の対象は、ロイヤリティの高いコアユーザではく、まだ購入に至っていない見込客や、リピート購入に至っていないライトユーザです。
その他、様々な目的のアンケート
その他、様々な目的でアンケートを活用することができます。
- 広告効果測定
- ランキング調査
- ブランド認知、イメージ調査
- 商品コンセプト、価格調査
- ネーミング案、ABテスト
アンケートの作り方のポイント
目的が定めた後は、目的を果たすためにどのようなレポートが必要かはじめに検討します。アンケートの最終成果物の型をはじめに定めることが重要です。
アンケートの項目の前にアンケートのレポートをまず先に考えることで非常にスムーズにアンケート項目を決めることができます。アンケートを回収した後になって、項目の失敗に気づくことを、大幅に減らせます。
アンケートの仕様をまとめる
ゴールを先に定めたところで早速アンケートの内容を考えましょう。「誰に」「何を」「何件」聞くべきか考えていきましょう。
Who:ターゲットを定める
誰のアンケートが必要なのかが非常に重要です。
目的に立ちかえり誰に聞くべきか定義します。自社のサイト訪問者みんなに聞くべきか?あるいは特定の商品の購入者に聞くべきか?
例えば、メガネを販売する場合、事前に目が悪いかどうか調査して調査対象者を絞り込むといった、事前にスクリーニング調査を行うことで必要なデータの精度を高めることができます。
What:設問項目を調査表にまとめる
この説明の流れで順に作業すると、すでに集計レポートを作成していると思いますので、設問内容はおのずと定まってくると思います。
定性調査と定量調査を目的に応じて使い分けバランスよく問いましょう。
定性調査
定性調査とは、理由や感想を自由に回答してもらうなど、数値で集計しにくい調査をさします。定性調査には以下のようなメリットとデメリットがあります。
メリット
- 行動の背景や、深層心理などを調査することができる。
- 回答の中から思わぬニーズやインサイトの発見などを期待できる。
デメリット
- 回答者の負担が大きい
- 回答を読み解く力が必要。
定量調査
定量調査とは、評価をスコアで回答してもらったり、あらかじめ用意した選択肢から選んでもらうなど、後から回答数を集計しやすい調査をさします。定量調査には以下のようなメリットとデメリットがあります。
- 回答者が回答しやすい
- 数値で全体を集計しやすく、全容を把握することにたけている
- 統計的な裏付けとして活用しやすく、仮説の検証に向いている
デメリット
- データを読み解く力が必要
- 回答を深堀できない
Where:どこで聞くか
アンケートで調査する場合、偏りをなくすことが重要です。ここで留意しておくべきポイントは、例えばインターネットでアンケート調査を行う時点で、インターネットをよく活用しているユーザに偏っているという点です。意図せずとも偏ってしまっているのです。
どこでアンケートを取るのかというのは非常に重要になります。インターネット?街頭アンケートなのか?電話調査なのか?極論どんな方法であっても偏りは必ず発生するため、それを踏まえて調査することが大切です。
精度を高める場合は、インターネット、街頭アンケート、電話調査など様々な場所でアンケートをとり、場所による偏りを把握し補正することができます。
When:タイミングを定める。
これも目的に応じて適切なタイミングでアンケートを実施する必要があります。
「ペルソナ」を調べる場合は、その時点でのペルソナ像を把握するために、期間を区切って一斉にアンケート調査を行うことがベストです。また、「顧客ロイヤリティ」を調べる場合も、ある時点とある時点を比較するため、期間を区切ってアンケートを取る必要があります。
しかし「顧客満足度」を調べる場合は、サービスを提供した直後がベストです。したがって、アンケートのタイミングは顧客毎に異なるということになります。
How many:何人に聞けばよいか
何人に調査すればよいのか。アンケート調査する人数をサンプルサイズといいます。
母集団とは、調査したい対象の規模が何人かを示します。母集団から実際にアンケートなど調査する対象を抽出した集まりをサンプルといいます。サンプルサイズとは、サンプルの人数を意味します。そして、サンプル数は標本数(サンプル抽出を何回おこなうか)となります。
アンケート調査対象の人数シミュレーター
サンプルサイズ(アンケート調査対象の人数)は概ね400人が目安になります。400人のアンケートを集めれば、おおむね5%の誤差で何万人分の統計データを得ることができます。
シミュレーターを用意したのでこちら何人くらいにアンケートを取ればよいのかご確認ください。
アンケートを作成する
Googleフォームを使えば簡単に無料でフォームを作成できます。Googleフォームでアンケートを作成したらアンケートフォームのURLをアンケートの回答者に渡して回答いただく流れになります。
もちろん、Googleフォームでなくてもなんでもよいですが、とてもお手軽にサクッと無料でアンケートを作れるので是非一度お試しください。
Googleフォームで対応している回答形式
Googleフォームでは下記の設問をつくる事ができます。
回答形式 | 説明 |
---|---|
記述式 | 自由記述ができる形式。 改行不可のため名前や年齢の記述に向いている |
段落 | 自由記述ができる形式。 複数行の記述が可能なので意見や感想の記述に向いている |
ラジオボタン | 複数の選択肢を用意し、その中から1つのみ選んでもらう形式 |
チェックボックス | 複数の選択肢を用意し、該当するすべてにチェックを入れてもらう形式 |
プルダウン | リストの中から回答を1つのみ選択してもらう形式 |
均等目盛 | 段階を設定して度合いを数値で答えてもらう形式。 たとえば、満足度を5段階(1~5)で評価してほしい場合などに活用できる |
選択式 (グリッド) | 質問(行)×回答(列)の表組み形式で設定したい場合に活用。 たとえば「料理に満足したか?」「接遇に満足したか?」などの質問が行に配置され、列には「満足・どちらともいえない・不満」などの回答を並べて、1つのみ選択してもらう |
チェックボックス (グリッド) | 質問(行)×回答(列)の表組み形式で設定し、複数回答を可能にしたい場合に活用。 たとえば、「満足した料理はどれか?」「不満だった料理はどれか?」などの質問を 行のところに置き、列には選択肢を並べて該当するものすべてにチェックを入れてもらう |
日付 | 日付を入力してもらう |
時刻 | 時刻を入力してもらう |
アンケートを実施する
アンケートを作成したら、(いつ(When)、誰に(Who)、どこで(Where))に基づいて実施するわけですが、誰にアンケートを実施するのかというポイントです。
アンケートの目的を達成するためには誰にアンケートを取るべきかしっかりと吟味しましょう。
一般消費者にアンケートしたい場合
一般消費者にアンケートを行いたい場合、様々なサービスがあるのでプロジェクトにピッタリのサービスを探してみてください。
アンケートの目的によっては、広告を配信してアンケートを取ることによって、特定のクリエイティブに興味を示してもらった方にアンケートを取ったり、SNSのフォロワーと非フォロワーで違いを集計するなど、誰にアンケートを取るのかは非常に重要になってまいります。
※後日記事をきちんと整理します😅
自社の顧客にアンケートを行いたい場合
自社の顧客にアンケートを行う場合などは、アンケートフォームのURLをメールやLINEなどで告知する方法が一般的です。この際hubspotなどのCRMを使うと非常に便利です。hubspotでアンケートをうまく扱うコツなどをまとめているので、ぜひ参考にしてください。
アンケートを集計しレポートにまとめる
アンケートを実施するまえにレポートのフォーマットはできているはずなので、後は集計するだけで容易に進めることができると思います😉
集計してレポートを作成する際に注意すべき点があります。
むやみに集計の際に平均値で判断しないように気を付けましょう。例えば、下記の様に明らかにAとBに回答が偏っているにもかからず、平均値や中央値で集計してしまうと、きわめてボリュームの低いポイントを拾ってしまい、拾えたはずの盲点を見逃してしまうことがあります。
アンケートの結果は設問ごとに必ずグラフにし可視化しましょう。これまで気づかなかった思わぬ気付きを得ることができることはよくあります。
ちなみに、Googleフォームは設問をつくったら勝手に回答データを自動でグラフ化してくれます😁
このようにアンケートの結果によって、当初想定していたレポートを調整すべきケースがあることはご留意ください。
まとめ
今回まとめたアンケートを作る際に最も重要なポイントは、設問を作る前にレポートを先に作るということです。レポートを作る際に目的にかなっているかどうか吟味しながら作ると思います。それが重要です。
アンケートを実施した後に、あれも聞いていればよかった!というのは本当によくありますので、気を付けましょう。
以上となります。
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